このページでは、民事再生手続における再生債務者の運営等についてまとめています。なお、法人の民事再生手続を前提として記載しています。

民亊再生手続における再生債務者の運営は経営者及び従業員が行いますので、その処遇や責任などを明確にする必要があります。

また、実務面では、一番重要なのは資金繰り、その次が事業の運営で、その他に債権者対応などがあります。

このページでは、再生債務者の運営のポイントをまとめてあります。

1 資金繰りの管理

民事再生手続中、資金繰りがもたなければ、手続を続けることはできません。

資金繰り破綻は、手続が持続できないことを意味しますので資金繰の管理は重要です。日繰資金繰表(できれば将来3か月分)を毎週アップデートして、資金繰破綻がないように確認するのが一般的です。資金繰管理のポイント(資金繰表作成の留意点及び資金繰りに関連して取引先に依頼すべき事項)は以下のリンク先をご参照下さい。

再生計画認可決定前に資金繰りが破たんしてしまう可能性がある場合、DIPファイナンスを検討することになります。DIPファイナンスの契約条件や具体的な手続については以下のリンク先をご参照下さい。

2 取引先との関係維持

事業を継続するためには、取引先(得意先、仕入先とも)を維持することが必須です。

民事再生手続開始の申立により、仕入先から、債権が焦げついたことを理由に取引を打ち切られる場合があります。場合によっては、代替仕入先確保の可否などを検討する必要があります。

一方得意先は信用棄損を理由に取引の打ち切りを通告してくることがあります。得意先については、当該得意先における再生債務者の重要性、当該得意先の属性、再生債務者が供給している物の性質(一般的には独自性が強いほど代替がききにくく取引を切られる可能性は低くなる)などから、売上げが維持できるかを検討する必要があります。
なお、再生債務者が一般消費者を相手にする業態(旅館、ホテル、食料品製造など)の場合、民事再生が売り上げに与える影響は小さいことが多いですが、消費者との接点となる業者(旅行代理店、問屋など)の反応を検討する必要があります。

3 再生債権の管理(債権者対応)

上記のとおり、従業員が誤って再生債権を支払ってしまわないように、当初1~2ヵ月の間は、一定額以上の支払(例えば10万円)については、全て申立代理人弁護士の決裁を得るようにすることが一般的だと思われます。申立代理人弁護士が会社に常駐して決裁を受けることもあれば、FAXやメール(PDF)等で決裁のやりとりをすることもあります。

より詳細な債権者対応については、以下のリンク先をご参照下さい。

4 監督委員の同意事項(裁判所の許可事項)の管理

監督委員の同意(又は裁判所の許可)が必要な事項を、従業員が同意等なく行ってしまわないように、注意喚起をする必要があります。
具体的には、従業員(特に管理職)に同意等が必要な事項を説明し、事前に必ず申立代理人弁護士に稟議を上げるように徹底するようにすることが多いと思われます。