このページでは、裁判所に提出されている民事再生手続に関する記録の閲覧につき、ご説明をしています。
例えば、再生債権者が申立書の内容を確認したいといった場合、裁判所で閲覧をすることが可能です。一方で、再生債務者は、裁判所に申立てることにより、一定の要件を満たす場合、記録の閲覧を制限することが可能です。
このページでは、再生手続の記録の閲覧と閲覧制限に関して、まとめています。
1 記録の閲覧・謄写
利害関係人は裁判所で記録の閲覧・謄写が可能です(民事再生法16条、民事再生規則9条)。
閲覧を希望する者は、利害関係人であることを証する書面を添付したうえで閲覧申請を行い、閲覧等をします(東京地裁の場合、記録閲覧室で閲覧等を行います)。
利害関係人とは、再生債務者に法律上の利害関係を有している者で、再生債権者などが該当します。
一方で、再生債務者所有不動産の買受希望者や、再生債務者代表者に対する債権者など、利害関係が事実上・経済上のものである場合は、利害関係人に該当しないと解されます(参考裁判例:東京地決H24.11.28)。
東京地決H24.11.28(破産):利害関係人に該当しないとして閲覧謄写が認められなかった事例
2 記録の閲覧制限
再生債務者は、裁判所に申立てることにより、一定の要件を満たす場合、記録の閲覧を制限することが可能です。概要以下のとおりです。
⑴ 閲覧制限ができる対象とは
閲覧制限が可能なのは、民事再生法17条1項で列挙されているものになります。
限定列挙ですので、それ以外の文書については閲覧制限を付けることはできません。
閲覧制限ができる主なものは以下の通りです。
・41条1項の許可取得のために裁判所に提出した文書等
・42条1項(事業譲渡許可)取得のために裁判所に提出した文書
・125条2項に基づく裁判所への報告文書(月次報告等)
⑵ 閲覧制限ができる要件
閲覧制限を付するためには、閲覧等により、再生債務者の事業の維持再生に著しい支障を生じるおそれがあること、又は再生債務者の財産に著しい損害を与えるおそれがあることが必要です。
⑶ 閲覧制限の方法
閲覧制限をする場合には、文書を提出する際に、支障部分を特定したうえで、閲覧制限の申立てを行います(民事再生規則10条1項)。
また、申立に当たっては、対象文書等から、支障部分を除いたものを作成して裁判所に提出する(民事再生規則10条3項)。支障部分を除いたものが閲覧の対象になります。
⑷ 注意点
再生手続開始後に契約をする場合で、当該契約に守秘義務条項が入る場合があります(例えば、事業譲渡契約など)。
その場合、閲覧制限をかけないと、契約不履行となる可能性がありますので、閲覧制限をかけるのを忘れないように注意が必要です。もっとも、事業譲渡契約については、債権者の権利保護の観点から閲覧禁止が認められない場合もありますので、その場合は事業譲受人の了解を得て守秘義務条項をはずす必要があります。