このページではプレパッケージ型民事再生におけるスポンサー契約に関する工夫について、説明をしています。

プレパッケージ型民事再生は、その適正性が問題となるため、実務上、スポンサー契約において工夫をすることがあります。やや専門的な内容になります。

1 はじめに

プレパッケージ型民事再生は、民事再生手続申立前にスポンサー契約を締結することになります。

一方で、再生債務者は再生債権者に対して公平誠実義務を負っていますので(民事再生法38条2項)、申立後に有力なスポンサー候補者が現れた場合、より弁済率が上がるスポンサーの支援を受けるように努力する義務があると解されます。また、仮に、申立後に現れたスポンサー候補者がより有利な条件を提示してきた場合、再生債務者は、申立前に締結したスポンサー契約を双方未履行の双務契約にかかる解除権に基づき解除できる(民事再生法49条1項)とも考えられます。

そこで、スポンサー契約に以下のような条項を入れておくことも考えられます。

2 具体的な条項案

⑴ 独占交渉権の例外を設定する起点

再生手続開始後に条件の良い提案をしてきたスポンサー候補者が現れたときに、独占交渉権の例外を認めて改めて入札を行うことができる権利を再生債務者に与える条項を入れることが考えられます。
この場合、再入札を行うことになった場合、時間がかかるというデメリットがあります。

上記条項に加えて、従来のスポンサーに、入札者が提示した最高額と同額を支払うことで、スポンサーを継続することができるとする優先権を与える条項を入れることも考えられます。
もっとも、このような条項が公平性を欠く可能性もあるため、入れるか否かは慎重に検討する必要があります

⑵ 再生債務者に解除権を与える条項

再生債務者が違約金を支払うことで、スポンサー契約を解除することができる条項を入れることが考えられます。

もっとも、当該違約金は損害賠償の予定として再生債権になってしまうと解されるので(民事再生法49条5項、破産法54条)、スポンサーがこのような条件を拒否する可能性があります。