このページでは、プレパッケージ型民事再生が適正とされるための要件に関する著名な弁護士の提言についてまとめています

申立時点でスポンサー(候補者)が存在する場合、プレパッケージ型民事再生を検討することになりますが、プレパッケージ型民事再生について、著名な弁護士による適正性確保のための提言を、ご紹介します。

1 プレパッケージ型民事再生の問題点(確認)

民事再生手続申立前にスポンサーを選定したうえで、民事再生の申立てを行うことを、「プレパッケージ型民事再生」と呼びます。

プレパッケージ型民事再生は、申立時点でスポンサーが付いていることで再生債務者の信用力が増し、事業の毀損を最小限に留めることができるというメリットがあります。

しかしながら一方で、スポンサー選定が公正と言えるのかが問題となります。特に、申立後に、有力なスポンサー候補者が現れた場合、その点が問題となります。

プレパッケージ型民事再生が適正とされるための要件として、これまで著名な弁護士により以下の二つの提言がされていますので、ご紹介致します。

こららの提言を参考に、裁判所及び債権者の納得を得られるような手当をして手続を進めるのが妥当と考えます。

2 お台場アプローチ

お台場アプローチと呼ばれる提言として、プレパッケージ型民事再生の適正性を確保するための要件として、以下の要件が提示されています(事業再生と債権管理105号112頁「民事再生とプレパッケージをめぐる諸問題」須藤英章弁護士)。

あらかじめスポンサー等を選定しなければ事業が劣化してしまう状況にあること
実質的な競争が成立するように、スポンサー等の候補者を募っていること
入札条件に、価格を下落させるような不当な条件が付されていないこと
応札者の中からスポンサー等を選定する手続において、不当な処理がされていないこと
スポンサー契約等の内容が、会社側に不当に不利な内容となっていないこと
スポンサー等の選定手続について、公正である旨の第三者の意見が付されていること
スポンサー等が、誠実に契約を履行し、期待どおりに役割を果たしていること

3 松嶋・濱田提言

松嶋・濱田提言と呼ばれる提言として、プレパッケージ型民事再生の適正性を確保するための要件として、以下の要件が提示されています(銀行法務21 631号6頁「日本におけるプレパッケージ型申立の問題点」松嶋英機弁護士、濱田芳貴弁護士)

メインバンク(又は主力取引債権者)がスポンサー交渉に関与し、少なくとも結果について承諾していること
複数の候補者と交渉し、少なくとも打診をしたこと
当時の事業価値の評価として一応妥当であること
スポンサー契約が民事再生申立ての決断又は早期申立てに寄与したこと
スポンサー契約に至る過程において、スポンサー候補者が資金繰りや営業継続上の協力をしたこと