このページでは民事再生における管理命令についてまとめています。

管理命令は、一言で言えば、管財人が選任されることを指します。民事再生手続で管財人が選任されるケースは多くはありませんが、まれにあります。再生債務者の役員が債権者平等を害する財産処分を行ったり、放漫経営を続けて再生債務者の財産を減少させているような場合に、管理命令が発令されることがあるようです。

1 管理命令の概要

管理命令は一言で言えば、再生債務者の業務及び財産に関し、管財人による管理を命ずる処分のことを言います(民事再生法64条1項)。

再生債務者自身の再建を基本とする民事再生手続では、管理命令が発令されるのは例外です。
再生債務者の役員が債権者平等を害する財産処分を行ったり、放漫経営を続けて再生債務者の財産を減少させているような場合や債権者申立事件なでで、管理命令が発令されることがあるようです。

管理命令が発令されると、管財人が再生債務者の「業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする」権限を専属的に有することになります。逆に、従来の経営者は権限を失います(民事再生法66条)。

2 管理命令の特徴

管理命令が発令された場合と、そうでない場合(再生債務者の経営者が経営を継続する場合)の違いは、概要以下のとおりです(条文は民事再生法)。

   項目          通常の民事再生手続            管理命令が発令された場合
業務遂行、財産管理処分権再生債務者(38条1項管財人(66条)
再生債務者の監督重要な事項については監督委員の同意事項とされることが一般的です(54条2項)。重要な事項については裁判所の許可事項とされることが一般的です(41条)。
財産関係の訴え再生債務者が当事者管財人が当事者(67条1項
否認権の行使者監督委員(135条1項)管財人(135条1項)
再生計画案右記のような制限はありません。増資(募集株式の発行等)を定める再生計画案の提出はできません(166条の2、154条4項)。減増資スキームを選択する場合、従来の経営陣の協力が必要となります。
裁判所の監督期間最長再生計画案認可決定確定から3年間188条2項)。制限ありません(188条3項)。